パソコンのリカバリーという処理をご存知でしょうか?
リカバリー(Recovery)とは、もともと「復帰」「回復」などの意味を持つ英語ですが、パソコンにおけるリカバリーとはパソコンをある時点の状態まで戻すことを意味します。
また、パソコンのリカバリーにはある程度の下準備が必要とされています。
この記事では、パソコンのリカバリーの前に必要なこと、そして実際のリカバリーの手順について見ていきます。
パソコンには様々なメーカー(機種)が存在するため、全てのパソコンにおいてリカバリーの手順が必ずしも同一であるわけではありません。
この記事を読めばおおよその流れをつかめて、実際にパソコンをリカバリーする際にスムーズに進めることができます。
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パソコンのリカバリーとは「パソコンを購入時の状態にする」こと
パソコンのリカバリーとは
パソコンをリカバリーするとは、パソコンを購入時(工場出荷時)の状態に戻すことです。初期化といった方がなじみがあるかもしれませんが、初期化もリカバリーも同じ処理を指します。
パソコンをリカバリーすると、それまで保存していたデータ(写真、音声など)やインストールしたソフトウェアが無くなってしまい、また独自に変更した設定もリセットされてしまいます。
リカバリーが必要な場合
エラーが表示されたりウイルスに感染したりしてどうしてもパソコンを動かせず、かつ修復不可能な場合の最終手段としてリカバリーが用いられます。
また、インストール済みのファイルを整理している最中に間違って重要なシステムを消去してしまいパソコンが機能しなくなった時にもリカバリーが有効です。
他には、いろいろなソフトをインストールしていくうちにパソコンの速度が遅くなってしまった場合に、処理速度を速めるためにリカバリーすることも考えられます。
パソコンのリカバリー前にしておくべきこと2つ
パソコンをリカバリーすると購入時の状態に戻ってしまい、一度リカバリーしたらリカバリー前の状態には戻せません。そのためリカバリーを実行する前にすべきこと、確認すべきことがあります。
バックアップ
パソコンをリカバリーすると、それまで保存していたデータが消えてしまうため、無くなって困るようなデータはバックアップをとらなければなりません。
そこでバックアップすべきものとして挙げられるのは以下の通りです。
- インストール・保存したファイル
- メール
- ネットワーク接続設定
- インターネット上のブックマーク
この中で意外と見落としがちなのがブックマーク(お気に入り)です。
個人のパソコンの使いやすさは、娯楽用や調べもの用のサイトがまとめられているかどうかにかかっている部分があるので、リカバリー後すぐにパソコンを使いやすくするためにはブックマークのバックアップは欠かせません。
ブックマークのバックアップの方法は簡単で、別ファイル(例えばGoogle Chromeの場合HTMLファイル)にエクスポートしたものをUSBメモリなどの外部メディアに保存すればOKです。
ちなみにエクスポートには外部メディアだけでなく、DropboxやGoogleドライブなどのオンラインストレージサービスも利用できます。
問題の解決に初期化が適しているか調べる
パソコンの動きがおかしいからといってその全てのケースにおいて解決方法として初期化が適しているかといえば、そうではありません。
初期化を検討している場合、パソコンが抱えている問題が初期化によって改善されるものかどうかを確認しなければならないのです。
パソコンが機能しなくなる原因はソフトによるものとハードによるものがあります。
このうち、初期化によって改善されるのはソフトの問題(先ほど挙げたように、重要なファイルを誤って消去してしまったなど)であって、ハードの問題はパソコンの修理やパーツの交換が必要です。
何より、ハードに問題があるのに初期化処理を始めてしまうと途中でフリーズする危険性もあるので注意しなければなりません。
次ページ:パソコンのリカバリーの方法
パソコンのリカバリーの方法
リカバリー方法1:HDD内のリカバリー領域
市販のパソコンのリカバリー方法には大きく分けて2つの方法がありますが、まずパソコンのHDDに内蔵されているリカバリー領域を使う方法を見ていきます。
リカバリー領域とは記憶媒体(HDDなど)にパソコンの初期化の情報が書き込まれた領域のことで、これをパソコンが読み込むことでリカバリーが起動します。一般的に、市販のほとんどのパソコンにはリカバリー領域が用意されています。リカバリー領域を用いたリカバリーの手順を簡潔にまとめると、以下のようになります。
- メーカー(機種)ごとに特定のキーを押してリカバリーを起動
- リカバリー画面の表示に従って操作
1の手順についてですが、「電源を入れた直後の、メーカーのロゴが表示されている間にファンクションキーを押し続ける」という操作がメーカーに関係なく共通していることが多いです。では、具体的にどの部分がメーカーごとに異なるのでしょうか?以下では、メーカーごとの例を紹介します。
富士通
電源を入れたらFUJITSUのロゴが表示されている間に「F12」または「F11」キー(「F12」か「F11」は機種によって異なる)を押します。もしくはパソコン本体に「support」ボタンがある場合はそれを押せばリカバリー起動となります。
メニューが表示されたら「↓」キーを押して「トラブル解決ナビ」または「Recovery and Utility」を選択します。
NEC
電源を入れて「NEC」のロゴ画面が表示されたら、「F11」キーを何回か押すと(2012年2月以降発売の一部の機種では「F4」キー)、Windows再セットアップ画面が表示されます。
東芝
「0(ゼロ)」キーを押しながら電源を入れ、製品ロゴが表示されてからキーを離すとTOSHIBA Recovery Wizardというリカバリーメニューが表示されます。
リカバリー方法2:リカバリーディスク
リカバリー方法の2つ目はパソコンに添付されているリカバリーディスクを使用する方法ですが、早速手順を見ていきましょう。
- BIOSを、CD/DVDから起動できるように設定を変更する
- CD(リカバリーディスク)をセット
- リカバリーディスク起動時に表示されるリカバリー画面の表示に従って操作

1の手順についてですが、BIOS(Basic Input Output System)というプログラムは、パソコンのマザーボード上のROMに搭載されています。
OSが起動する前の段階で、パソコンに接続されているハードウェア(キーボード、マウス、CPU、ハードディスクなど)の管理や制御を行います。
さらにBIOSはパソコンに接続されているデバイスを設定された順番に起動させていくのですが、この順番をパソコンの出荷時の設定から変更することでHDD、光学ドライブ、USBメモリなどの起動順位を自由に変えることができるのです。
今回はリカバリーディスクを使ってリカバリーをするため、CD/DVDを優先起動させる設定が必要というわけです。
また、BIOSにおいて優先起動デバイスの変更の方法ですが、パソコンの電源を入れた直後にメーカーごとに定められている「呼び出しキー」をキーボードから押すことでBIOS設定画面が開くので、そこから画面の表示に従って設定の変更が可能です。
なお、BIOS設定画面における表示もメーカーごとに異なるうえに英語表記で初心者には分かりづらいため、詳しくはパソコンの取り扱い説明書を読むのが一番です。
パソコンのリカバリー後に必要な作業3つ
ここまでパソコンのリカバリーの手順を見てきましたが、リカバリー後の作業も大切です。以下では、パソコンのリカバリー後に必要な作業をざっと取り上げました。
基本ソフトウェアのインストール
Office、ウイルス対策ソフトなどの基本ソフトウェアをインストールします。
なお、Officeやウイルス対策ソフトはそれぞれインストールディスクが付属している場合が多いですが、最近はインターネット上でダウンロードできるセットアップファイルからインストールする方法もあります。
Windowsアップデート
パソコンをリカバリーすると、Windowsが出荷当時の古いバージョンに戻ることがあります。OSがそのままだと不具合が生じてしまうためアップデートが必要です。
インターネット接続、メール設定
インターネット接続設定、メール設定を再設定します。メールは、バックアップをとっておいたメールアカウントやアドレス帳、送受信データなどをインポートするだけでOKです。
まとめ
今回、パソコンのリカバリーの下準備や手順を見てきました。
リカバリーにはHDD内臓のリカバリー領域を使う方法とリカバリーディスクを使う方法がありますが、違いはリカバリーの起動の仕方だけで、起動してしまえば画面の表示に従って操作を進めていけば問題ありません。
なお、リカバリーの下準備としてバックアップが欠かせないので、無くなって困るようなデータを洗い出しておくことが大切です。
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